皆さんこんにちは、シロネコ書房(@shironeko_shobo)です。
皆さんは、どういった時「あ、この人となら仲良くなれそうだな」と思うでしょうか。
話が弾んだ時?なんだか波長が合うなと思った時?共通の趣味があった時?
様々あるとは思いますが、ひっくるめて言ってしまえば、私たちは「自分と似ている人」と仲良くなりやすいのです。
しかし、一体どうして、私たちは自分と似ている人間に対して友好的な感情を抱くのでしょうか。
今回は、人が「自分と同じ心の持ち主を求める」理由について迫っていきます!
類似性の法則

人は自分と同じ価値観を持つ人間に好意を抱く
「類は友を呼ぶ」と言われるように、私たちは自分と同様の好みや考え方を持っている人間に対して好意を抱きます。
好きな食べ物や、興じている趣味、愛読書や仕事、得意な分野などが被ると、初対面の人だったとしても親近感を覚えるのです。
このように、人が自分と似ている人間に対して好意を抱くことを「類似性の法則」と言います。
具体的な例として、日本の「球団」に対する好みから生じる人間関係を見ていきましょう。
好きな球団が同じだった場合
このように「好きなものが同じ」だと、「考え方や価値観が似ている」と判断され、付き合いの初期から友好的な関係を築くことができます。
しかし、反対に好きなものが異なると……
好きな球団が異なった場合
このように「好きなものが異なる」と、「考え方や価値観が異なる」と判断され、最初から険悪な関係に陥ってしまうのです。
特に、好みのベクトルが正反対になるような意見の食い違いが起こると、その後の関係性を上手に発展させるのはとても難しくなってしまうでしょう。
ー ちょっと小話+α ー
この日本においては、例に挙げたような野球に関する話題が出た時には注意が必要です。特に男性諸氏。
私にはこれと言って好きな球団はありません。
しかし、就活の時、役員との面接で「好きな球団はあるか」と聞かれ、心得がなかった私は「試合に勝つと地元のスーパーがセールやるしな……」というちゃっちぃ理由から、「中日です」と答えてしまったのです。
私がそう答えた直後に、場の空気が凍るのを感じました。その後、役員の一人が「ほぅ……」とだけつぶやかれ、その場の役員全員が巨人ファンであることを私に告げたのです。
まさに悪夢。私は急いで「スーパーが、セールでー、他意はないんです~!」と弁解しましたが、その後の空気はピリリと張り詰めっぱなしでした……。
どうか賢明な皆さんは、このような過ちを犯さぬよう。
もしも「好きな球団」を聞かれたら、本当はあるけど「特にない」と答えるか、「あなたはどこなんですか」と聞き返すのが無難です。いやホントに
ちなみに、その企業には落ちました。
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A-B-Xモデル
類似性がもたらすこうした現象は、次のようなモデルで表すことが出来ます。
1、お互いが○○を好きだった場合

2、片方のみが○○を好きだった場合

3、互いに○○が嫌いだった場合

これらは、ニューカム(1961)という心理学者が提唱した「A-B-Xモデル」を元に作成した関係図です。
このモデルでは、相互に関係を持つA、Bと共通の対象X(ここでは阪神タイガースを表す虎のマーク)を含む3者間における好意が、常に安定するように成り立ちます。
また、3者の関係はプラスとマイナスで表され、Xへ向けられるAとBの符号の積がプラスならAとBの関係性も+(ここでは♡マーク)に、反対に積がマイナスなら、AとBの関係性は-(ここでは✖マーク)になります。
つまりは、「同じXが好き or 嫌い、ならAとBは友好的」に、反対に「片方はXが好きで片方はXが嫌い、だとAとBは非友好的」になるということです。
私たちの直感的にも、経験的にも、理解しやすいモデルだといえますね。
また、バーンとネルソン(1965)という二人の心理学者によれば、互いの類似点が多く、またその程度が似通うほどお互いを友好的に思うようになるという研究結果が報告されています。
つまり、お互いに好きな物や嫌いな物の共通点があることを前提として、好きは好きでも、「熱狂的に好き」なのと「好きか嫌いかと言われたら好き」では程度が違いますから、その点まで似てくるとさらに友好度は高まる、ということです。
お互いに大好きなものについて熱く語りあったりするのは楽しいですからね。これも理解しやすい理論だと思います。
自分と似ている人=自分を肯定してくれる存在
さて、ここまでは「人は自分と似たような人間を好きになるんだぜ☆それを類似性の法則って言いうんだぜ☆」ということを述べてきましたが、肝心のその理由についてはまだでしたね。
心理学者のバーンは、この類似性の法則が機能する理由について
「自分と同じ、または似たような考え方を持つ相手がいるということは、すなわち、自分の考え方が正しい、という1つの証明になり、それが相手への好意につながる」
と説明しています。(これを一致妥当化と言います。)
確かに、「自分と好きなものが同じ」=自分の考えや価値観を肯定してくれる人には、こちらも好意的になりますよね。
反対に、「自分と好きなものが異なる」=自分の考えや価値観を否定するような人に対しては、こちらも嫌な顔をしてしまうものです。
また、類似した考え方を持つ相手とはコミュニケーションが容易であり、相手の行動の予測もしやすく、共通の体験を持ちやすいという長所があります。
そのことからも、類似性は相手への好意につながると言えますね。
簡単に言ってしまえば、「自分と似通ったひとと会話したり、一緒に過ごすことは心地がいい!」ということなのです。
そして、私たちは幼いころから、こうした「類似性がもたらす快の経験」が自分を肯定してくれる、自尊心を保たせてくれるものだということを無意識に学習しています。
その経験の積み重ねが、さらに自分と似通った人たちへ好意を持つようになる傾向を強めているとも言えましょう。
以上のような理由から、私たちには自分と似通ったタイプの人間に対して好意を抱きやすくなっているのです。
まとめ
私たちが自分に似たような人に好意を抱くのには、類似性の法則を中心とした心の動きが関係しているからです!……というのが今回の内容でした。
その類似性の法則について簡単にまとめると……
「私たちは自分のことを肯定してくれる、自尊心を保たせてくれる人が好き!」
と、大っ変エゴイスティックなものになります。
人間って、私たちが思っているよりも、格段に都合のいい、身勝手な生き物なのかもしれませんね……。
自分と似通った人と交流するのは、確かにストレスもなく心地よいものです。
しかし、自分と真逆の人間と関わったときこそ、新しい気づきや発見が生まれるものでもあります。
そう考えると、「この人、合わないなぁ……」と思った人と関わる回数を増やした方が、人として成長できる機会は増えるのかもしれません。
ですから、自分と似た人を大切にするのと同時に、「人間の食わず嫌い」にならず、いろんな人と関わり合いを持つことも大事にしてみてください。
そんなこんなで、今回はここまで。
ではでは、またまた~
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