人は分かりやすいものを真実だと思い込む!「処理の流暢性」がもたらす心理とは

真っ白の背景に二つの赤卵

誰だって面倒なことよりも、シンプルで分かりやすい物事を好むものですよね。

しかし、そうした脳の働きが、「シンプルで分かりやすければもうそれ真実でOK!」という判断を下すことがある!と言われたら、あなたはどう思うでしょうか。

今回は、そんな一見信じがたい心の働きに焦点を当てていきたいと思います。

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「処理の流暢性」とは

一般的に、人間の脳は簡単なものが好きです。

「簡単」とは、難易度が低い、分かりやすい、整っている、飲み込みやすい、等の状態を指すわけですが、言い換えれば、自分が理解できる=処理が簡単だということですそして、そうした情報に対して、人は良いイメージを持ちます。

 

例えば、

・簡単な単語で書かれた文章は、難解な専門用語で書かれた文章よりも多くの人に読まれる。

・発音しやすい企業は、株式公開の際により多く投資される。

・たどたどしい説明より、よどみなく話される説明の方が信憑性が高いと思われる。

といったようなこと。

これらは学者たちの研究において、実際にその影響が認められているものたちです。

 

このように、自分が理解しやすい物事や情報に対して好感を抱く心の動きを、処理の流暢性(りゅうちょうせい)といい、私達の認知(=物事のとらえ方)をゆがめる要因の一つになっています。

 

“ 慣れ ” が処理の流暢性を高める

処理の流暢性は、物事に「慣れる」ことで高くなっていきます。

 

お腹が空いたなぁ、そうだ、カツ丼でも食べに行こう!……となった時、
よく行くチェーン店のカツ丼屋と、まだ入ったことのない個人経営のカツ丼屋があった場合、あなたならどちらに入るでしょうか。

一般的に、多くの人はチェーン店の方を選びます。

なぜなら、通い慣れていることで、店の雰囲気やオーダーの仕方などが容易に行えることに好感を持つからです。

 

別の例を挙げましょう。

いつもの通学・通勤ルートよりも2,3分早く目的地に着けるルートを友人に教えてもらったとして、大抵の人はこれまでと同じルートを選びます。

たとえ少し早くつけるルートがあったとしても、通い慣れた、処理の流暢性の高いルートの方に人は安心と信頼感を覚えるのです。

 

先ほどの例に挙げた、「単語が簡単、文章が分かりやすい」というのも、言ってしまえば、そうした単語や文章にこれまでに多く触れており、知らぬ間に流暢性を高めてきているからなんです。

トト
“慣れる”ことで、処理が楽になりますます好きになっていく……

 

そう、それが人間の心の仕組みなんですね。

単純接触効果平均性の美の効果など、みなさんも耳にしたことがある心理効果も、実はこの処理の流暢性が深くかかわっています。

分かりやすい=真実だと思ってしまう

処理の流暢性が、好みや信頼等、人の様々な判断に無意識のうちに影響することをここまでお話ししてきました。

が、さらに驚くべきごとに、その影響が対象の真実性にまで影響を及ぼすことが、最近の研究により明らかになりました。

 

これは、例えば、きれいな字、読みやすいフォントで書かれた文章は、それだけで真実性が高いと判断される、ということを示します。

 

イサコ
え?それって、内容があやしいものでも!?

 

そうです。内容が多少うさんくさくても、字がきれいで読みやすければ正しいと思われます。これはすごい。

 

ただ、逆を言えば、普段見かけない難解な単語が使われていたり、読みにくい字や汚い字で書かれた文章はそれだけで「難しい」「なんだか信用ならない」と思われてしまうということでもあります。

広く人々に読まれるような文章や、手書きの文章を書くときには注意が必要ですね。

 

頭の良さもにじみ出る?

さらにさらに、流暢性の高い文章を書いた「人」に関しても、「頭が良い」と判断されるところまで、処理の流暢性が影響を及ぼすことも分かりました。

 

同じ内容であっても、使う単語や、文章の読みやすさ、使われるフォント、文字のきれいさなどが、書き手の印象形成にも影響を与えるということですから、人物評価を伴うような書類・文章を作成するときには、特に気合いを入れて筆を運ぶ必要があるでしょう。内容以外の部分で、「頭が悪そう」なんて評価を受けたら、大損です。

ただ、このことを知っていれば

 

・会社でのプレゼンや、企画書など、自分のアイデアの正当性や妥当性を高めたい!

・就職活動のエントリーシートで、競争相手に差をつけたい!

 

このような場合に、自分をより理知的に見せる工夫ができるということでもありますから、みなさん、今日はこのことだけでも覚えて帰ってください。

 

それは本当に真実か

しかし、簡単=真実が悪用されたシーンも過去には多く存在しています。

 

最盛期のナチスドイツにおいて、ヒトラーは人々を扇動するためのプロパガンダ(政治的宣伝)の原則として、

「テーマ・考え・結論を絞り、簡単で明確な言葉でしつこく繰り返せばよい」

と述べ、実際に数々の非人道的な施策を、大衆の同意のもとに行っていました。

 

処理の流暢性のメカニズムを利用し、簡単な言葉で何度も何度も大衆に呼びかけることで、人々はそれを正しいと思い込み、過激な政治施策も実行に移すことができたのです。

 

これは現代に生きる私たちにも無縁なことではありません

テレビのニュースや新聞等、マスメディアを注意深く眺めてみると、人々の間に浸透させるために単純化された情報が、いかに多いかが分かります。

短絡的で事実とはかけ離れたものが大半ですが、何度も目にし、耳にするうちに、こうした声を信じてしまう人々がいるのも事実です。(〇素水は健康にいい!!とか……)

風刺画。簡単な物事を正しいと信じて進んでしまう人々

簡単なものは、正しいもの?

これは、「シンプル=真実だ」と信じて間違った方向へ進んでしまう人々がどれほど多いかを風刺した絵です。

なにを信じるかは人それぞれ。しかしそれが本当に正しいことなのか、今一度よく考えてみることが大事です。

 

流暢性を下げることのメリット

専門用語や複雑な言い回しは流暢性を下げますが、効果的に用いることで得られるメリットもあります。

 

難しい言葉や言い回しは「目新しい」「革新的だ」といった印象を相手に与えることができ、「最先端」や「画期的」な商品です!といったアピールをしたい時に効果を発揮します。

「なんだかよくわからないけどすごそう」なことを言っているCMとか、よく目にしますよね。

 

また、流暢性の低いものは裕福な人に好まれる、ということも分かってきています。

ハイブランドな商品や、高額な商品の宣伝には、あえて流暢性の低い方法をとってみるのも一策です。

まとめ

処理の流暢性について1言でまとめるとするならば

『脳が処理しやすいものはポジティブに』 『脳が処理しにくいものはネガティブに』 判断される――といった感じでしょうか。

何より一番の驚きは、シンプルで簡単!=真実である と心が感じてしまうという点ですね。

そして、その文章からあなた自身の評価が決まってしまうことも、ぜひぜひ覚えておいてほしいポイントです。

難しい言葉や言い回しを使って博識ぶることは、百害あって一利なし。
誰しもに分かる簡単な文章が、偉ぶった自己満足的な文章を容易に上回ることを私達は忘れてはならないのです。

 

また、大衆扇動の危険性についても触れました。

「〇○が悪い!」「△△すればOK!」などの、簡潔で耳にスッと入ってくるような言葉を、私達は正しいものだと思いがちです。

しかし、内容に関して本当に正しいのかどうか一度よく考えてみることを忘れてはいけませんよ!

 

それでは、今回はこのへんで!

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ABOUTこの記事をかいた人

シロネコ書房

物語とコーヒーが好きな一般成猫。横浜市の隅っこで暮らしています。人の「心」について興味を持ち、日々、ふむふむと勉強中。 このブログでは、これまでに学んだ「毎日を生きやすく、楽しく暮らす」ための心のノウハウを、Life Hack(ライフハック)ならぬ「Cocoro Hack(ココロハック)」と称して紹介していきます。